「最近あまり眠れないのですが」
月見 鏡は医務室の椅子に腰掛け、バネットと話をしていた。能力者といえども人間、悩みやストレスを抱える者も多い。ここでは怪我や病気の治療のほか、カウンセリングも行っている。
「何か悩んでいることがあるのかしら?」
バネットは小首をかしげて鏡を見つめる。
「ええ……ここの環境はあまりいいとは言えませんし、毎日同じものばかり見ているとどうも気が沈んでしまって」
「そうね」
鏡の作り話――完全に作り話というわけではないが――を聞きながら、バネットは彼に紅茶をすすめた。
バネットは鏡の作戦にぴったりの人物に思えた。線の細い女性で、危険を侵さずにそれなりに入り込める場所も多そうだ。彼女の『分身』を作り、自分と意識を共有させて動かせれば……
「大胆な作戦ね、そのためにここにきたのかしら」
バネットの声で鏡は我に返った。
声に出していないはずの思考が、読み取られたのか? 彼女がそういう能力を持っている可能性は十分ある。しかしそれと分身が作れるかどうかは別の話。
「テストは始まったわ。私のコピーを作ってもいいわよ?」
「罠、ですか」
「テストよ」
バネットは涼しく笑った。
月見 鏡は医務室の椅子に腰掛け、バネットと話をしていた。能力者といえども人間、悩みやストレスを抱える者も多い。ここでは怪我や病気の治療のほか、カウンセリングも行っている。
「何か悩んでいることがあるのかしら?」
バネットは小首をかしげて鏡を見つめる。
「ええ……ここの環境はあまりいいとは言えませんし、毎日同じものばかり見ているとどうも気が沈んでしまって」
「そうね」
鏡の作り話――完全に作り話というわけではないが――を聞きながら、バネットは彼に紅茶をすすめた。
バネットは鏡の作戦にぴったりの人物に思えた。線の細い女性で、危険を侵さずにそれなりに入り込める場所も多そうだ。彼女の『分身』を作り、自分と意識を共有させて動かせれば……
「大胆な作戦ね、そのためにここにきたのかしら」
バネットの声で鏡は我に返った。
声に出していないはずの思考が、読み取られたのか? 彼女がそういう能力を持っている可能性は十分ある。しかしそれと分身が作れるかどうかは別の話。
「テストは始まったわ。私のコピーを作ってもいいわよ?」
「罠、ですか」
「テストよ」
バネットは涼しく笑った。
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