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遠吠えは届かない
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 ――呉 杏柚の場合

「意識を持って動くということはそれは本当の闇ではない。それは『誰か』なんだろう」
嵐の夜、施設の外。暴風にバタバタと長いスカートを翻しながら、呉 杏柚(くれ・あんゆ)は静かに、しかし青く燃える殺気をまとってたたずんでいた。
彼女には彼女の果たすべき役割がある。『闇』と呼ばれる存在の始末だ。
今や彼女の精神は闇の中に入り込んでいる。肉体は意味を持たず、精神が直接ぶつかり合う戦い。実体のない闇でも、精神がある限りこの戦いは有効になる。
「精神を内側から破壊する、クラッキング‥‥」
彼女の肉体が目を閉じた。

そこは嵐の夜ではなく、延々と続く荒野だった。日照り気味の土地に真上から太陽が差し込み、時折吹く砂を巻き上げる風にスカートがたなびいた。
杏柚の正面には、やたらと背の高い、黒衣の男が立っていた。精神の世界というまったく予想しない形で、自分の姿を暴かれてしまった『闇』だった。
「はじめようか」
杏柚が広げた両腕の周りに、ずらりとスローイング・ナイフが並んだ。精神を破壊するイメージの力の具現化だ。

精神力はほぼ互角‥‥しかし、杏柚には『アクセラ』という五感と精神を研ぎ澄ませる武器があった。ここで闇が廃人になろうと、死んでしまおうと彼女には関係のないことだった。勝って、自分に与えられた仕事を全うすることがまず第一。

しかし彼女は知っていただろうか、アクセラは彼女に力を与えつつ、少しずつ、しかし確実に彼女の体と精神を蝕んでいることに。与えられる力が大きいほど、その反動も大きくなる。
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